タイヤ交換は自分でできる?必要な工具やリスクについて徹底解説
意外と出費が大きくなる「タイヤ交換」。自分で交換できれば、費用を大幅に節約できます。しかし、タイヤ交換の作業は危険が伴うことも。安全に済ませるためには、手順を押さえて取り組むことが大切です。
そこで今回は、タイヤ交換の必要性をはじめ、タイヤ交換の最適なタイミングや手順についてご紹介します。併せて、作業中に注意すべき3つのポイントも解説していますので、これからタイヤ交換に取り組もうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
タイヤ交換は何故必要?
タイヤは一見すると頑丈そうに見えますが、あくまでゴム製品の「消耗品」です。使用することで、摩耗し溝がなくなったりゴムの経年劣化によりヒビが入ったりします。
さらに、影響が出るのはタイヤだけではありません。車両の燃費が悪くなったり走行中の音がうるさくなったりと、運転にも支障が出てしまうのです。最悪の場合、タイヤが走行中に破裂して事故を引き起こす危険性もあります。安全で快適なカーライフを過ごすためにも、タイヤ交換は必ず定期的に行わなければなりません。
タイヤ交換を自分で行う場合の方法
タイヤ交換を業者に頼むと、タイヤ代と作業工賃が発生します。しかし、タイヤ交換に必要な工具と手順さえわかっていれば自分で作業できるため、作業工賃を抑えることが可能です。難しい作業ではありませんので、少しでも出費を抑えたい方は自らタイヤ交換を行ってみましょう。
タイヤ交換に必要な工具
タイヤ交換を自ら行うにあたり最低限必要な工具は、ジャッキとジャッキハンドル(くるくる棒)、ボックスレンチ、トルクレンチ(増し締め用)の4つです。
ジャッキとジャッキハンドル(くるくる棒)、ボックスレンチは、トランクの底や後部荷室にスペアタイヤと共に収納されていることもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。ただし、車両に工具があったとしてもそれはあくまでも緊急用です。今後、タイヤ交換を自分で行うのであれば、トルクレンチ(増し締め用)とあわせてホームセンターなどで揃えておきましょう。
なお、車両を動かなくする「輪止め」や汚れを気にせず作業するための「軍手」があると、より一層作業しやすくなります。
自分でタイヤ交換を行うデメリット
自分で行うタイヤ交換にはさまざまなデメリットが伴います。命に関わる内容もありますので、デメリットを十分理解してから作業しましょう。それでは、具体的にどんなデメリットがあるのか見ていきましょう。
作業中にボルトやナットが壊れてしまう
最初にお伝えするデメリットは、ナットを締めるときに力を入れ過ぎてしまいボルトやナットが破損する恐れです。トルクレンチを使用すれば回避できますが、レンチだけで締めようとすると力加減が分からないため壊れてしまうケースがあります。
また、慣れない作業により整理整頓がうまくいかず、ボルトやナットなど細かい部品を紛失してしまうことも…。部品を紛失するとタイヤ交換を行うどころか、元のタイヤに戻すことすらできなくなってしまいます。
ジャッキアップ中の危険性
次に紹介するデメリットは、ジャッキアップ中に事故が起こる危険性です。タイヤ交換は車体をジャッキアップして行いますが、作業中に車体が落ちてきたり動いたりする可能性があります。最悪の場合、自動車の下敷きになり命に関わる事故となってしまいます。
ジャッキアップポイントにきちんと接続されていないことや、サイドブレーキのかけ忘れ、輪止めの不使用など多くの不注意が原因です。安全に十分注意して作業を行っているつもりでも、ついつい注意を怠ってしまうこともあるため危険を伴います。
燃費の悪化や走行性能の低下
タイヤが適正な空気圧になっておらず、燃費や走行性能が低下してしまうリスクも自分でタイヤ交換を行うデメリットです。タイヤ交換を行った後は、必ずタイヤの空気圧をチェックする必要があります。
タイヤの空気圧は、空気圧計を購入するほか、ガソリンスタンドなどでも計測してもらえますので、タイヤ交換の後は必ずチェックしましょう。
走行中タイヤが外れてしまう恐れも
最大のデメリットは、走行中にタイヤが外れてしまう可能性があることです。タイヤを固定するナットの締め方が甘く、だんだんナットが緩んでしまうことが原因で、走行中にタイヤが脱輪する事故も多く発生しています。
タイヤの脱輪は運転中の自動車が事故に遭うだけでなく、脱輪したタイヤが歩行者や他の自動車に衝突してしまう危険性があります。多くの人の命を危険にさらす重大事故を防ぐためにも、適切にタイヤ交換を行うことが重要です。
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自分でタイヤ交換の手順
つぎに、タイヤ交換の手順をご紹介します。
手順① ホイールナットをゆるめる
まず、タイヤについているホイールナットをすべてゆるめましょう。ホイールナットを外すのは後の工程になりますので、この段階では「ゆるめるだけ」です。ボックスレンチを差し込んで反時計回しにまわすとゆるめることができます。
なお、ホイールキャップ(ホイールカバー)が装着されていて、ホイールナットが見えないタイヤもあります。
この場合は、ホイールキャップを外してから前述した工程に着手しましょう。タイヤとホイールキャップの間に、薄くて硬いヘラのようなものを差し込めば簡単に取り外せます。
手順② 車両を持ち上げる
次に、ジャッキで車両を持ち上げましょう。ジャッキ操作棒を差し込んで時計回しにまわすと、車両を持ち上げることができます。あまり高く上げすぎるとジャッキが不安定になるため、タイヤが地面から少し離れたあたりで止めましょう。
車両を持ち上げる際のポイントとしては、「ジャッキポイント」と呼ばれる補強された部分にジャッキを当てること。ジャッキポイント以外の場所にジャッキを当てて車両を持ち上げてしまうと、ボディがゆがんでしまう危険性があるため、十分に注意しましょう。
なお、ジャッキポイントは車種によって場所が異なるので、取扱説明書を読んで事前に確認しておくことが大切です。
手順③ タイヤを外す
ゆるめていたホイールナットを取り外して、タイヤを引き抜きます。このとき、タイヤを水平に保って、ボルトのネジ山に傷が入らないように注意しましょう。
取り外した古いタイヤは、車両の下に入れておくことが大切です。こうすれば、もしジャッキが倒れても身の危険を回避しやすくなります。タイヤ交換を安全に済ませるためには、万が一に備えておくことも大切です。
手順④ 新しいタイヤに付け替える
ボルトに合わせて、新しいタイヤを差し込みます。ホイールナットを取り付けて、ボックスレンチで締めていきましょう。
ボックスレンチでホイールナットを締める順番は決まっています。ボルトが4本の場合は、上から対角線上に「上→下→左→右」の順に締めていきます。ボルトが5本の場合は、上から星を描くように「上→右下→左上→右上→左下」の順に締めましょう。
ホイールナットがゆるんでいると、走行中にタイヤが揺れて危険です。2〜3回に分けて、しっかり締めるようにしましょう。
手順⑤ 車両を下ろしてホイールナットを増し締めする
ジャッキをさげて車両を下ろしたら、所定の力で締め付けられるトルクレンチでホイールナットを増し締めしましょう。増し締めが済めば、タイヤ交換は終了です。
増し締めを力任せに行うと必要以上の力がナットやボルトにかかり、破損につながるなど非常に危険な状態になるので適正値を確認する様にしましょう。適正なトルクは車の取扱説明書や車のディーラーなどで確認することができ、自動車メーカーによっては、ネット上に公開している場合もあります。
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タイヤ交換を自分で行うときの注意点
タイヤ交換を誤った方法で行うと、車両を傷つけたりタイヤの寿命が短くなったりします。タイヤ交換をする際の注意点を2つの工程に分けてご紹介しますので、見落としのないよう注意しましょう。
タイヤを取り外すとき
タイヤを取り外すときの注意点は「ハブボルトを傷つけないこと」です。
ハブボルトとは、車両とタイヤ(ホイール)をつなぐ部品。ナットを外してからタイヤを引き抜く際に、タイヤが斜めになった状態のまま引きずるように取り外すと、ハブボルトのネジ山が歪んだり潰れたりしてしまいます。
傷ついたハブボルトにタイヤを取り付けると、走行中に脱輪してしまう危険性があるため、取り外した際に傷がないか確認するようにしましょう。
タイヤを取り付けるとき
タイヤを取り付けるときの注意点は、タイヤに「指定の向きがないか確認すること」です。
タイヤによっては、性能を高めるため進行方向(回転方向)が指定されている場合があります。向きが指定されているタイヤは、進行方向に合わせて取り付けられる前提で溝を配置しているため、逆に取り付けてしまうとグリップ力や排水性に影響が出ます。
タイヤを取り付ける際は、指定の進行方向がないか確認しておきましょう。
自分でタイヤ交換後にすべきこと
タイヤ交換が終わったら、必ず以下の3つまで済ませましょう。
実際に乗車してみる
タイヤが新品になれば走行性能が向上すると考えられがちですが、実はそうではありません。まずは乗車して「タイヤを慣らす」必要があります。
新品のタイヤを触ってみると、手がスベスベになります。これは「離型剤(りけいざい)」という薬剤が付着しているためです。離型剤が付着していると、新品のタイヤでもブレーキが効かなかったりスリップしたりすることがあるため、慣らし走行をしてタイヤ本来の性能を引き出す必要があるのです。
離型剤がなくなるまでの間は、普段よりも安全走行を心掛けるようにしましょう。
なお、慣らし走行の目安は「速度80km/h以下で距離は100km以上」です。冬用タイヤの場合は、「速度60km/h以下で距離は200km以上」が目安とされています。
空気圧をチェックする
タイヤ交換を終えたら、空気圧をチェックしましょう。万が一、空気圧が低すぎたり高すぎたりすると安全に走行できなくなるため、適正空気圧に調整しておくことが大切です。
タイヤ専門店など、スタッフがいる店舗を利用すれば空気圧の確認・調整を一任することができます。反対に、ガソリンスタンドなどのセルフスタンドの場合は、自分で空気圧を調整しなければならないことも。その場合、車両の適正空気圧を知る必要があります。
適正空気圧は、運転席側の扉か給油口に貼られているシールで確認できます。必ず目を通して、正確に調整しましょう。
タイヤを保管・廃棄する
交換に伴い、取り外したタイヤは保管または廃棄する必要があります。
保管する場合は、タイヤを横向きにするのが基本です。縦向きだと、タイヤの重みでゴムが変形してしまうためです。「スペースが確保できない」など、どうしても縦向きで保管しなければならない場合は、タイヤラックなどを使ってタイヤに負荷が掛からないよう工夫しましょう。
そして、保管する場所は直射日光の当たらない屋根付きのガレージや庭がベストです。また、雨に濡れないよう地面から離しておくことも大切です。屋根がない場合は、養生用のブルーシートで覆うことで、直射日光と雨を防ぐことができます。
なお、保管場所を用意できない場合は、タイヤ専門店やガソリンスタンドの「タイヤ保管サービス」を利用しましょう。ベストな環境下でタイヤを保管してもらえます。
タイヤを廃棄処分する場合は、専門業者に依頼しましょう。廃品回収業者に依頼したりタイヤ専門店に持ち込んだりすれば、正しいルートで処分してもらうことができます。
廃棄にかかる費用は、タイヤ専門店であれば4本で「税込2,000円〜5,000円」程度、廃品回収業者であれば「税込4,000円〜8,000円」程度です。サイズによって料金は前後するので、事前に料金を確認しましょう。
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タイヤ交換は専門業者に頼むのが安心
タイヤ交換は、自分で行うと価格を安く抑えられるのが魅力ですが、危険性が高くなる傾向にあります。また、専用の工具を揃えなければならないうえ、タイヤの処分方法を検討することも必要です。
そこで、タイヤ交換は専門の業者に任せるのが最も安全でおすすめです。プロに頼めば、タイヤ交換にかかる時間も時短できます。以下で、代表的な3つの業者をご紹介します。
ガソリンスタンド
第一に「ガソリンスタンド」があげられます。どの地域にも必ずあるので、すぐにタイヤ交換をしたいときに便利です。また、工賃も安いうえに、メンテナンスやクリーニングなどのサービスがついてくることもあります。
ただし、ガソリンスタンドはあくまで「ガソリンを補給する場所」です。タイヤ交換のサービスを行っていない可能性もあるため、事前にどのようなサービスを行っているか確認しておきましょう。
ディーラー
タイヤ交換は「ディーラー」にて依頼することも可能です。専門的な知識・技術に優れた整備士が作業を担当するため、安心してタイヤ交換を依頼することが可能です。
ただし、ディーラーには「ほかの業者より費用が高い傾向にある」という弱点があります。その理由は、前述したように専門の整備士が細かい点検やメンテナンスを行うからです。そのため、予約をする際はタイヤ交換の費用をあらかじめ確認しておくことが大切です。
タイヤ専門店
タイヤ交換だけを依頼するなら、「タイヤ専門店」が最もおすすめです。 純正タイヤの知識はもちろん、低燃費タイヤや安定性の高いタイヤなど、一部の機能に特化したタイヤに関する知識も備えたスタッフが在籍しているため、どのようなタイヤを持参してもスムーズに交換を済ませられます。
なお、タイヤ専門店を利用する際は、あらかじめ予算を決めておきましょう。店舗によっては費用が高めなこともあるため、予算を決めないままだと思いのほか出費がかさむことがあります。前もって「いくらくらいでタイヤ交換を済ませたいか」を明確にして、無理なく依頼できる店舗を選ぶことが大切です。
タイヤ流通センターにお任せください
消耗品であるタイヤは、頃合いをみて交換することが大切です。使用中のタイヤが古くなったときはもちろん、車検前や季節の変わり目などのタイミングに合わせて交換しましょう。
また、タイヤ交換を自分で行う場合は、安全に考慮して正しい手順で取り組むことが大切です。車両に傷がつかないよう、そしてタイヤの性能が落ちてしまわないよう注意しましょう。
タイヤ交換をうまく行う自信がない場合は、専門家に依頼するのが賢明です。
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現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。