雪道のスタックに注意!タイヤの脱出方法と必要な装備
クルマにとっての冬と言えばスタッドレスタイヤ。皆さん、冬の準備は万全でしょうか?
スタッドレスタイヤを装着し、チェーンを準備しておけば基本的には問題無いと思われます。ただ、何があるか分からないのが冬の雪道・・・。しっかりと準備をしていても、新雪にはまってスタック、なんてこともあります。特に、雪道の走行に慣れていない方がスタックした場合、抜け出せなくなる可能性もあります。
そんな時でも事前に脱出方法を知っておけば、安心して対応出来るのではないでしょうか。今回のコラムでは特に、雪道でのスタック脱出方法を取り上げていきます。
目次
スタックとはどういう状態?
まずはじめに「スタック」という状態を知っておきましょう。
「スタック」は雪道でのみ発生するわけではありません。夏場でも例えばぬかるみや溝にはまって進めなくなることを「スタック」と呼びます。つまり、周辺環境によりタイヤが空転して進めない、動けないという状態を全般的に「スタック」と表現します。
この「スタック」という状態、理由が雪でも泥でも基本的な対処方法は変わりません。駆動輪のグリップ力を路面、もしくはタイヤ接地面に伝える事で脱出出来る可能性があります。それが可能となる状況を作ることが基本的な対処方法です。
スタックした車の脱出方法
スタックした車を脱出させるには、状況に応じて適切な対処が必要です。雪道という慣れない環境の中でのトラブルは、気持ちが焦るだけなく、大事にこ繋がるリスクがあります。ここでは、ケース別に立ち往生してしまった車の脱出方法をご説明します。知識として持っていることでいざというときに安心できます。
雪道でのスタック脱出方法①:周辺の雪を踏み固める
駆動輪の接地面を固め、グリップ力が路面に伝わり易くすることにより脱出を図る方法です。ゆっくりとクルマを前後に動かせばタイヤ周辺の雪を踏み固めることが出来ます。こうすることでタイヤがグリップするポイントを作り出せれば、最終的な脱出に繋げることが出来るかもしれません。もし同行者が複数いるのであれば、この時スタックしたクルマに乗り込んで荷重を増やす、という手も有効です。
雪道でのスタック脱出方法②:人の助けを借りる
交通量がある場所ならば、他のクルマや通行人に助けを求めることも一つの手段と言えます。人手があれば、複数人でクルマを押してもらうことが出来ますし、①でお話した乗り込んで荷重を増やすという方法を採ることも可能です。また、別のクルマを用意出来れば、牽引ロープで引っ張ってもらうという手段も検討出来ます。何にせよ、スタック時は人手のある方が良いと言えます
。
雪道でのスタック脱出方法③: 道具を使う
事前に用意しておく必要はありますが、人手が無くても脱出の可能性をあげることが出来ます。カー用品店等では「スタック~」として販売されており、スタックヘルパー、スタックステップ、スタックラダー等と呼ばれています。
これは①でお話した「駆動輪のグリップ力を接地面に伝える」、「グリップするポイントを作り出す」ことが出来るので、実際にスタックした際には大変役立つと考えられます。冬のドライブには1セット持っておいた方が良いかもしれません。手持ちが無い場合、毛布やタオル、クルマのフロアマットの他、板や段ボールも活用出来ます。また、タイヤ周囲の雪を取り除く目的で、スコップも役立ちます。
雪道でのスタック脱出方法④: 砂箱を活用する
雪の多いエリア、積もりやすい場所では道路脇に砂箱が置かれていることがあります。この砂をタイヤの周囲に振りかけることにより、タイヤのグリップするポイントを作り出すことが出来ます。スタックした場合はまず周囲に砂箱が無いか探してみましょう。ただし、近場では見つけられない場合も多いので、あればラッキー位に考えておき、③にある各種ツールを事前に用意しておきましょう。
最終方法
ご紹介した①~④でも脱出出来ない、危険な場所でスタックした、という場合はJAFロードサービスへ救援を求めましょう。安全を第一に考え、無理はしないことが大切です。
雪道のトラブルで役立つ装備や道具
車のスタック以外にも、雪道ではトラブルが生じる可能性が多くあります。その他の雪道での車のトラブルを回避するために、正しい準備をしておくことが重要です。
スタッドレスタイヤ
ノーマルタイヤでの雪道走行は、非常に危険です。運転開始までに必ずスタッドレスタイヤを装着しておきましょう。また、スタッドレスタイヤへの交換は、安く交換できる9~10月がおすすめ。この時期は、キャンペーンを打ち出す業者も多く、有名メーカーのスタッドレスタイヤを激安購入できるチャンスです。
また、高速道路では冬用タイヤや滑り止め装置を装着していない車は、走行できない「冬用タイヤ規制」が行われる場合もあります。高速道路を利用する場合は、特に注意しましょう。
タイヤチェーン
道路にチェーン規制がかかっていると、スタッドレスタイヤを装備していても通行できない場所があります。特に、山岳地帯の高速道路では、この規制が多く見受けられます。タイヤチェーンは、スタッドレスタイヤよりも凍結路面や圧雪に強く、収納がコンパクトである反面、装着に慣れが必要です。事前に練習しておくと、スムーズに使用できます。
道具類
スタックが起きてしまった時に役立つ道具について紹介します。雪が降る前に揃えておくことをおすすめします。
【ウォッシャー液】
凍結しづらいよう、原液に近い濃度のものを補充しておきます。カー用品店で購入することができます。、
【軍手・ゴム手袋】
手がかじかんでいたら、必要な作業をすることができません。そんな時に役立つのが、軍手やゴム手袋です。車外作業の際に必要になります。
【雪かき棒】
車体に積もった雪を落とすのに、使用します。
【スコップ】
車が雪に埋もれてしまった場合、掘り出すのに必要です。ホームセンターで購入することができます。
【けん引ロープ】
万が一スタックしてしまった場合、他の車とつないで牽引してもらう時に使用します。カー用品店で購入することができます。
【バスタオル・毛布など】
発進するときに駆動輪の前にかませるように敷いて使用します。その他、麻袋やフロアマットなどでも代わりが効きます。
スタックを防ぐための雪道走行のポイント
降雪のない地方に住んでいる一般ドライバーは、雪道走行に慣れていない方も多いかと思います。雪道での運転は、アスファルトの上を走る場合とかなり異なります。ここでは、スタックを防ぐための雪道走行のポイントについてお伝えします。
発進時にアクセルを急に踏まない
スタックになる原因の多くは、アクセルを急に踏むことでタイヤと接地面の雪の間に摩擦がなくなってしまうことにあります。急な動きは避け、発進時にはゆっくりアクセルを踏むように意識しましょう。
スピードを出さない
当たり前のことですが、スリップしやすい雪道でスピードの出しすぎは禁物です。「そんなことを分かっているよ!」と感じる方もいるかと思いますが、運転慣れしているほど油断することがあります。
また、ブレーキはいつでも踏める状態にし、急に踏むのではなく優しくゆっくり何度も踏み込むようにしてください。
車間距離を開ける
雪道では何が起こるかわかりません。急なスリップで前を走る車に衝突することも考えられます。車間距離は、通常の3倍は取り万が一に備えて運転するようにしましょう。雪道は、通常時の運転とは異なることを常に意識するようにしてくださいね。
いかがだったでしょうか?冬のドライブには危険がつきものです。何かあった時でも事前の準備と情報があると落ち着いて対応出来るというものです。しっかりとした事前準備で冬のドライブを楽しみましょう!
現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。