スタッドレスタイヤが高い!サマータイヤより高い理由と安く買う方法

冬の積雪道路には、スタッドレスタイヤは必需品です。毎年冬になると、サマータイヤから履き替える方も多いでしょう。そこでネックになってくるのが価格です。スタッドレスタイヤは、サマータイヤより高価なものが多いです。しかし、価格の高さにはしっかりと理由があります。

そこで今回は、スタッドレスタイヤが高い理由や少しでも安く買う方法などについて解説します。スタッドレスタイヤは、価格だけで選ぶのではなく、しっかりポイントを抑え、今年は少しでもお得にスタッドレスタイヤを購入しましょう。

スタッドレスタイヤとは


スタッドレスタイヤとは、冬場の積雪時や凍結路面でも走行できるように設計されたタイヤのことです。雪道や凍結路面上にある雪の上に水の膜ができ、その上を車が走行するとタイヤのグリップ力が低下して滑ってしまうのです。このことからスタッドレスタイヤは、サマータイヤより柔らかいゴムをタイヤに採用しており、路面との接地力(摩擦力)が向上し、滑りやすい雪道や凍結路面でもグリップ力を確保でき走行できるのです。

また、スタッドレスタイヤの溝の形は、「深溝とサイプ」と呼ばれるものがあり、サマータイヤと全く異なります。スタッドレスタイヤの溝はかなり深く入っており、その溝によって構成されるブロックにも細かな溝(サイプ) があります。サイプは、水の膜を取り込む役割があり、これらが合わさって滑りやすい路面でも高いグリップ力を生み出しています。

スタッドレスタイヤの値段について


スタッドレスタイヤの値段には、メーカーやモデルによって差が出てきます。では、スタッドレスタイヤの値段の差は、どのようなものがあるのか見ていきましょう。

タイヤの値段には差がある

スタッドレスタイヤでもサマータイヤでも、モデルによって値段に差があります。最新モデルは、最新の技術が投入されており、性能や燃費などが前モデルと比較して向上しています。その分、タイヤの開発に設備や時間、コストがかかるので、価格は高くなってしまいます。

しかし、従来モデルは、お手頃な価格で購入することができます。工場の設備投資がある程度償却できているので、販売価格を下げても採算が取れるためです。「価格が下がっているから性能が低い」、という訳ではない点には注意しましょう。

激安スタッドレスタイヤもある

タイヤメーカーによっては、激安スタッドレスタイヤもあります。激安スタッドレスタイヤの代名詞は、アジアンタイヤです。10年程前までアジアンタイヤの評価は、安くて長持ちするがグリップ力が低いという状態でした。しかし、近年は安くて長持ちしグリップ力もあるという3拍子揃った状態に発展しています。

アジアンタイヤメーカーは、開発コストが国産タイヤより低いので、安く購入できるのです。アジアンタイヤメーカーの技術向上がすごく、近年は国産タイヤと変わらない程の性能を持ったタイヤが、格安で購入できるようになりました。激安スタッドレスタイヤを購入したい方は、アジアンタイヤを選択するのが良いでしょう。

スタッドレスタイヤの選び方


スタッドレスタイヤは、各メーカーから独自のものが販売されており、性能や価格がそれぞれ異なります。サマータイヤより価格が高価なため、少しでも価格が低いものを選びがちですが、しっかりポイントを抑えて選ぶ必要があります。

ここでは、スタッドレスタイヤの選び方のポイントについて解説しますので、参考にしてみてください。

氷上性能

氷上性能とは、凍結路面を走行する際に、車が安全に走行するための性能です。スタッドレスタイヤは、タイヤに深い溝をつけて路面の水を排水したり、低温でも性能を発揮できるように柔らかいゴム素材を使用することで、接地面効果を持たせ氷上での走行安定性を高めています。

雪上性能

雪上性能とは、積雪路面を走行する際に、車が安全に走行するための性能です。この性能が高いタイヤは、積雪時にタイヤが取られず、雪が踏み固められた「アイスバーン」の路面でも安定して走行することができます。
(※アイスバーンとは、降り積もった雪が車の走行により、踏み固められたものや、夜間に水が凍結し氷となる事で発生するものがあります。他にも、ミラーバーンやブラックアイスバーンといった種類のものもあります。)

また、スタッドレスタイヤの溝は、水を排水する能力だけでなく、雪も排出する性能を持ち合わせているので、積雪があってもグリップ力を確保することができるのです。

高速性能

高速性能とは、低温下でも安定して高速走行ができる性能のことです。冬場の高速道路をよく走行する方であれば、この性能が高いスタッドレスタイヤを選択するのが良いでしょう。

高速性能が高いスタッドレスタイヤは、排水性能も高いという点から、一般的にスタッドレスタイヤが弱いとされている「ハイドロプレーニング現象」に対してある程度の耐性があります。
(※ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面間に水の膜ができ、摩擦が無くなることによりコントロール不能になる現象です。)

欧州メーカーは、この高速性能に力を入れていますが、国産メーカーのスタッドレスタイヤは雪道には強いですが乾燥路面に弱く、磨耗を起こしやすい傾向にあります。

燃費

スタッドレスタイヤは、サマータイヤと比較して1割ほど燃費が悪くなると言われています。その原因は、スタッドレスタイヤの柔らかさと重さにあります。柔らかいタイヤの方が、摩擦力が強く前に進む力の抵抗となることや、タイヤが重い方が燃費に大きく影響してきます。

寿命・耐摩耗性

寿命は、タイヤが使用できなくなる時期のことで、耐摩耗性は、タイヤの劣化を防ぎ寿命を延ばすための性能です。スタッドレスタイヤの寿命は、約5年で、走行距離にすると10,000km~15,000kmと言われています。どのタイヤメーカーもスタッドレスタイヤの性能の保証期間は、3年に設定しているところが多いです。

素材

スタッドレスタイヤには、凍結路面で発生する水膜を排除するための技術として、吸水(+密着)系と撥水(+密着)系に分類されます。

密着系は、どちらの系統にも共通するスタッドレスタイヤの基本的特性です。低温下でも硬くなりにくい柔軟性を持ったゴム素材を使用することで、積雪路面や凍結路面にタイヤが密着しグリップ力を高めています。
撥水系は、路面に密着して水膜を押し出す特性のあるタイヤで、吸水系は路面に発生した水膜を、タイヤ内部に取り込み排水する素材でできたタイヤです。

日本では、吸水系のタイヤが主となっており、撥水系のタイヤは徐々に減少傾向にあります。

対称性

対称性とは、タイヤの中心を軸として左右の溝の形状が対称になっていることです。対称性の有無は、タイヤローテーションにも関わってきます。

進行方向の設定がない対称パターンのタイヤは、前後左右でローテーションすることができるので、片減りを抑えることができます。しかし、回転方向が決まっているタイヤは、前後のみの入れ替えとなるので、溝の減り具合は均等にできても片減りは抑えることができません。

スタッドレスタイヤを少しでも長く使用するためには、前後左右でローテーションができる対称性のあるタイヤを選ぶと良いでしょう。

ライフスタイル

各メーカーのスタッドレスタイヤには、それぞれ強みがあり、性能にも差があります。

積雪・凍結が多い地域では、氷上性能や雪上性能が高い国産メーカーのスタッドレスタイヤを選択すれば安心です。
積雪・凍結が少なく、乾いた路面が多い地域の方は、欧州製で高速性能や耐摩耗性などが高いタイヤを選択すると良いでしょう。普段は乾燥路面の走行が多く、休日にレジャーで山間部によく行く方は、氷上性能・雪上性能といった性能を重視すると安心です。

ライフスタイルは個々で異なるので、自分の周りの環境や自分の車の利用状況に応じた性能のスタッドレスタイヤを選択しましょう。

タイヤへの考え方

ホイールサイズが大きいほどスタッドレスタイヤの価格は高くなります。そこで、タイヤの価格を少しでも下げる方法として、スタッドレスタイヤを「インチダウン」する方法があります。(※インチダウンとは、ホイールサイズをワンサイズ下にすること)
インチダウンする場合は、初めはホイールとセットで購入する必要があります。

タイヤは、できるだけ長持ちさせた方がお得です。長持ちさせるためには、使用しない時は丁寧に保存する必要があります。また、安いスタッドレスタイヤは摩耗しやすい場合があり、結果として交換回数が多くなり費用が掛かることがあります。しかし、走行が多い方などであれば、安全のために毎年買い替えてもいいような場合もあります。

自身の車の使用状況に応じて、タイヤ選択や買い替えを検討しましょう。

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スタッドレスタイヤの価格帯


スタッドレスタイヤは、国産と海外で価格が異なります。ここでは、主要メーカーのタイヤ例と価格について解説します。タイヤサイズは、「205/60R16」に統一して紹介します。
※価格は、2022年10月現在の独自調査によるものです

国産ブランド

・ブリヂストン ブリザックVRX3
ブリザックは、氷上性能や雪上性能、静粛性、低燃費性など全ての性能において世界トップクラスです。初めての方は、ブリザックを選んでいれば間違いありません。

商品名 1本価格
BLIZZAK VRX3 21,050円~

・ダンロップ ウィンターマックス03
ウィンターマックスは、経年劣化による氷上ブレーキ性能の低下が抑えられているのが特徴で、氷上でもしっかり止まります。

商品名 1本価格
WINTER MAXX 03 19,725円~

・ヨコハマ アイスガード7
アイスガードは、独自の非対称パターンで氷上性能や雪上性能が高いです。ロングライフ性能にも優れています。

商品名 1本価格
iceGUARD 7 23,785円~

北米ブランド

・グッドイヤー ICE NAVI 8
シリーズ初の左右非対称パターンを採用し、氷上性能や雪上性能、ロングライフ性能などが向上した、プレミアムなタイヤです。

商品名 1本価格
ICE NAVI 8 20,350円~

欧州ブランド

・ミシュラン X-ICE SNOW
氷上性能が高く、特に氷上でのブレーキの効きに定評があります。また、安全性とロングライフ性能も売りとしており、性能を落とさず長く使用できます。

商品名 1本価格
X-ICE SNOW 16,600円~

・コンチネンタル NorthContact NC6
ドイツのタイヤメーカーですが、NorthContact NC6は日本のニーズに合わせて、氷上性能を高めておりバランスの良いタイヤです。

商品名 1本価格
NorthContact NC6 12,100円~

・ピレリ ICE ZERO ASIMMETRICO
このタイヤは日本向けに開発されています。最新技術により、従来品より高速性能や氷上性能が高く、安全性と快適性が向上しています。

商品名 1本価格
ICE ZERO ASIMMETRICO 14,900円~

アジアブランド

・ナンカン AW-1
アジアンタイヤの中でも知名度が高く、価格が安いので日本でも人気があります。雪上性能は高いですが、氷上性能は少し心もとないという評価があります。

商品名 1本価格
AW-1 10,490円

・ハンコック Winter i*cept iZ2 A
世界で7位の韓国のタイヤメーカーで、日本でも人気のメーカーです。このタイヤは、左右非対称パターンで、先進技術により氷上性能の高さや快適性が良いタイヤです。

商品名 1本価格
Winter i*cept iZ2 A 11,540円

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安くスタッドレスタイヤを手に入れる方法


なるべく安くスタッドレスタイヤを購入したいと思う方は多いでしょう。ここでは、少しでも安くスタッドレスタイヤを手に入れる方法を紹介します。

9~10月ならお買い得スタッドレスタイヤが見つかるかも

スタッドレスタイヤを安く購入するなら、9~10月の秋に購入するのがオススメです。シーズン前で割引して売られていることが多く、お得に購入できる可能性があるからです。シーズン中は、希望サイズが欠品する可能性があるので、早めにチェックしておきましょう。

中古スタッドレスタイヤ

中古スタッドレスタイヤを購入する手段もあります。中古タイヤであれば、新品タイヤより半額ぐらいの値段で購入できることがあり、性能の良い国産タイヤが安く見つかる可能性があります。

スタッドレスタイヤは、使用していなくても劣化していきます。スタッドレスタイヤの寿命は、3~4年です。中古タイヤを購入する際は、製造年を確認し3年以内のものを選ぶようにしましょう。また、残り溝やひび割れ等の確認もしっかりして購入をしましょう。

レンタルスタッドレスタイヤ

スタッドレスタイヤをレンタルするという方法もあります。普段雪の降らない地域で、使用頻度が少ない場合は、使用したい時だけ使えるレンタルがオススメです。

まとめ

今回は、スタッドレスタイヤが高い理由やタイヤの選び方、安く手に入れる方法やタイヤの価格帯などについて解説しました。スタッドレスタイヤは、モデルやタイヤメーカーにより価格に差があります。安いタイヤであれば、アジアンタイヤを選択すると良いでしょう。

スタッドレスタイヤを選ぶ際は、価格の安さだけでなく性能面もしっかり確認しましょう。自分のライフスタイルに合う性能を持ったタイヤを選ぶことが、雪道を安心して走行できるために必要です。スタッドレスタイヤを少しでも安く入手するには、9~10月の早めに購入することや中古スタッドレスタイヤを購入する、タイヤをレンタルするといった方法があります。自分の周りの環境や車の使用状況に応じて判断し、お得にスタッドレスタイヤを購入しましょう。

 

監修者:こげパン
現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。

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