スパイクタイヤはどんなタイヤ?スタッドレスタイヤとの違い、見なくなった理由
その昔、冬の道路は、路肩の雪が真っ黒に汚れている光景が当たり前でした。スパイクタイヤを履いた車が、路面を削り粉塵(ふんじん)を巻き上げていたからです。
雪国で子ども時代を過ごした40代後半以上の人は、覚えがあるのではないでしょうか。
ところが近年は、泥汚れこそあるものの、昔のような黒くすすけた雪は見なくなりました。理由は、スパイクタイヤが使われなくなったことにあります。
今回はスパイクタイヤとスタッドレスタイヤに迫ります。「スパイクタイヤとは、そもそもどのようなタイヤだったのか」「スタッドレスタイヤとの違いは何か」といったトピックから、冬用タイヤについてまとめました。
冬こそ重視したい安全走行、それを文字通り足元から支えるタイヤについて、詳しく見ていきましょう。
▼この記事を最後まで読んでわかること
・スパイクタイヤとは何か
・スパイクタイヤを見かけなくなった理由
・冬用タイヤの種類には何があるか
・タイヤ流通センターなら激安で冬タイヤの交換ができる
目次
スパイクタイヤとは、どんなタイヤ?
スパイクタイヤは、タイヤのトレッド面に金属製のピン(スパイク)を打ち込んだタイヤです。
金属製のピンが雪や氷に突き刺さり、ひっかきながら走行します。
ピンが突き刺さる力は強く、相当の凍結路でも安定して走れます。一昔前は「冬用のタイヤといえばスパイクタイヤ」が常識でした。
スタッドレスタイヤとの違い
スパイクタイヤがピンが路面に突き刺さる力を利用してスリップを防ぐのに対し、スタッドレスタイヤはタイヤが路面に密着する力を利用します。
スタッドレスタイヤは、低温でも柔軟性を損なわない特別なゴムでできています。またトレッド面には無数の細かな溝が刻まれています。
柔らかいゴムと、しなやかに動く溝が、凹凸の多い積雪・凍結路面にガッチリと密着してスリップを防ぐ仕組みです。
スパイクタイヤとスタッドレスタイヤは、雪や氷の捕らえ方がそもそも異なるということです。
スパイクタイヤを見かけないのはなぜ?
スパイクタイヤは、雪道・凍結路の走行で圧倒的な安定性を発揮します。「夏場と変わらない運転ができる」と話す人もいたほどです。
そんな性能優秀なスパイクタイヤも、近年まったく見かけなくなりました。なぜでしょうか?
スパイクタイヤを見かけなくなった理由は、法律により製造も使用も制限されたことにあります。
スパイクタイヤのつくりが、粉塵公害を引き起こした
スパイクタイヤのピンが、雪や氷「だけ」に突き刺さっていたならば、もしかしたら今でも使われていたかもしれません。
しかし冬だからといって、路面が常に凍っているわけではありません。また晩秋や初春、タイヤ交換する前後のシーズンは、路面はドライな状態です。
スパイクタイヤが露出したアスファルトを走行する場面も、日常的にありました。
ところがドライ路面をスパイクタイヤが走ると、ピンがアスファルトを削り、細かな粉塵を巻き上げます。この粉塵が、1980年代に公害として大問題となったのです。
仙台砂漠
スパイクタイヤ 1987年2月 仙台
仙台砂漠とは、仙台市で起きたスパイクタイヤの公害です。
スパイクタイヤが巻き上げた粉塵が、街の空気を薄曇り状態にしました。人々はマスクなしでは外出できないほどで、大きな社会問題になりました。
スパイクタイヤ粉じん被害等調停申請事件(長野県)
1987年4月、長野県に住む弁護士62人がスパイクタイヤの販売停止をメーカーに求める調停申請を出しました。
スパイクタイヤによる粉塵や騒音、わだちぼれ(道路のわだち部分だけがくぼむ現象)、白線の消失などを問題視したのが理由です。
(※ 参照:スパイクタイヤ粉じん被害等調停申請事件(昭和62年(調)第17・21号・昭和63年(調)第5号事件)|総務省)
1991年、法律によって製造・使用が制限された
前述した長野県の調停申請は「長野県だけの問題ではなく、積雪地域に共通の問題である」とみなされ、全国的にスパイクタイヤの製造・販売を禁止するよう、調停内容が発展します。
その後、東北地方や北海道の弁護士も賛同し、大規模な調査が行われました。
結果、1990年12月末日限りでスパイクタイヤの製造を中止、翌1991年3月末日限りでスパイクタイヤの販売を中止する調停が成立します。
現在は1991年4月1日に施行された「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」で、スパイクタイヤの製造と使用が制限されています。
スパイクタイヤを制限する法律の内容を詳しく見てみよう
「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」は、実はスパイクタイヤを全面的に使用禁止しているわけではありません。
法律の内容を、詳しく解説します。
(※ 参照:スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律|e-GOV法令検索)
法律で禁止されているスパイクタイヤ使用の範囲
「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が禁止しているスパイクタイヤ使用の条件は、以下のとおりです。
- 指定地域内で
- 道路が積雪・凍結していない場合
これだけでは、いまひとつわかりませんね。もう少し、詳しく見てみましょう。
スパイクタイヤの使用が禁止される地域と期間
スパイクタイヤの使用が禁止される地域は、雪の多い地域や急な積雪が懸念される地域です。
北海道や東北地方、北陸地方、山梨県、長野県、岐阜県、さらに日本海側の鳥取県や島根県などが含まれます。
ちなみにこれらの地域では、真冬に限りスパイクタイヤの使用が認められています。
<北海道のスパイクタイヤ使用禁止・可能期間>
地域 | スパイクタイヤ禁止期間 | スパイクタイヤ可能期間 |
道央・道南 | 4/1~11/20 | 11/21~3/31 |
道北 | 4/10~11/10 | 11/11~4/9 |
道東 | 4/10~11/20 | 11/21~4/9 |
ただ、タイヤメーカーが製造・販売していないために、実際にはスパイクタイヤを履いた車を見かけることは、ほぼありません。
スパイクタイヤの使用が制限されない車両もある
消防車や救急車など、緊急時に必要とされる車両は、スパイクタイヤ禁止の対象から外れます。
地域や期間にかかわらず、スパイクタイヤを履いていてもOKです。
結論、冬に履けるタイヤは3種類ある
現在、冬用のタイヤは、3種類あります。
スパイクタイヤ、スタッドレスタイヤ、そしてオールシーズンタイヤです。
スパイクタイヤ
スパイクタイヤは、一般乗用車向けに製造・販売されていません。法令にもとづき、環境省と国内メーカーが申し合わせているためです。
スウェーデンやフィンランドなど、一部の国では現在でもスパイクタイヤが使用されています。これらの国からスパイクタイヤを運んでくれば手には入れられますが、現実的な方法ではないでしょう。
「一般乗用車は、スパイクタイヤは装着出来ない」と考えて差しさわりはありません。
スタッドレスタイヤ
現在、日本において冬用タイヤといえばスタッドレスタイヤです。
スタッドレスタイヤはスパイクタイヤが禁止された後、代用品として開発されました。「スタッド(鋲)がレス(ない)」の名前の通り、トレッド面にピンが刺されていないタイヤです。
柔らかくしなるゴムと多数の溝で冬の路面を力強くグリップし、スリップを防ぎます。
近年はスタッドレスタイヤの性能向上が目覚ましく、かなりの積雪でもスタッドレスタイヤで走破できるようになりました。
各メーカーとも、毎年のように性能を向上させた新製品を発売しています。
スタッドレスタイヤの性能は、次の4つのポイントでチェックしましょう。
- 氷上性能
- 雪上性能
- ウェット性能
- ドライ性能
お住まいの地域の気候に合ったタイヤを選ぶと、より安全性が高まります。
オールシーズンタイヤ
オールシーズンタイヤは、名前の通り1年を通じてタイヤ交換なしで履き続けられるタイヤです。
ドライ・ウェットの路面では夏タイヤに近いグリップ力を発揮し、氷上・雪上では夏タイヤに勝る安定性を誇ります。
ただしオールシーズンタイヤの氷上・雪上性能は、スタッドレスタイヤには及びません。
スタッドレスタイヤが冬の路面に特化した性能を持つのに対し、オールシーズンタイヤは1年中履き続けられることを重視しているためです。
オールシーズンタイヤは、多量の積雪やアイスバーン上の走行にはおすすめしません。「滅多に雪が降らない都市部だが、突然の雪や今年の冬の冷え込み予報に備えて」といった使い方が適しています。
スタッドレスタイヤを安く買う方法
昨今の原料費や輸送費、人件費の高騰を受け、スタッドレスタイヤ価格が上がっています。
しかし、タイヤは消耗品です。少しでも出費を抑えられるに越したことはない、と考える人もおおいのではないでしょうか。
スタッドレスタイヤをお得に買うコツを、3つ紹介します。
シーズン前に購入する
11月に入ると、スタッドレスタイヤの需要が一気に高まります。需要が増えれば、値下がりしにくくなるのが市場の原理。
需要が高まり切らない、シーズン前の購入を検討してみましょう。
10月までは「早割」と称してスタッドレスタイヤのセールを実施するショップもあります。前年の型落ちモデルを安く手に入れられる可能性も、ゼロではありません。
購入店のキャンペーンを狙う
スタッドレスタイヤの販売促進を狙い、各ショップがキャンペーンを実施します。近隣のショップをチェックし、少しでもお得に変えるキャンペーンを見つけてみてください。
キャンペーン内容にはタイヤ価格割引のほかにも、さまざまなものがあります。
- アルミホイール付きスタッドレスタイヤ特別価格
- 純正オプションプレゼント
- タイヤ交換費用1回分割引/無料
- ギフト券プレゼント
- グルメギフトプレゼント など
タイヤ専門店に相談する
タイヤのことは、専門店への相談もおすすめです。
タイヤ専門店は専門店ならではの流通ルートを持っており、スケールメリットを活かしてメーカーから割安で仕入れています。
国内外のあらゆるメーカーのタイヤから選べる点も、専門店のメリット。地域の気候や車の乗り方、予算に合わせて、最適な1本を選べます。
スタッドレスタイヤならタイヤ流通センターにお任せください
数あるタイヤ専門店の中でも「品ぞろえの豊富さ」「価格のわかりやすさ」なら、タイヤ流通センターにお任せください。
タイヤ流通センターは日本最大級の、タイヤ専門店です。BRIDGESTONEやYOKOHAMAなどの国内メーカーから、コスパの良さで注目のKENDAやHANKOOKといったアジアンタイヤまで、あらゆるタイヤを取り揃えます。
また一般の人にはわかりにくい「タイヤごと」の価格設定を撤廃し、3つの定額制でタイヤをご用意します。Web限定の激安価格を設けているタイヤサイズもあり、タイヤ交換をわかりやすく、お得に済ませることができます。
メーカーと車種、タイヤサイズを選択すれば、その場で即座に見積もりが出る明瞭さも、評判です。
まずはタイヤ流通センターの簡単30秒見積もりをお試しください。万一、見積もりが表示されなかった場合でも、ショップが好みのタイヤを手配します。
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まとめ
スパイクタイヤは、トレッド面に雪や氷をひっかくためのピンが埋め込まれた冬用タイヤです。安定性が高く広く支持されましたが、公害や騒音のため1991年に製造・販売が中止されました。
現在は、スタッドレスタイヤが冬用タイヤの主流です。各メーカーしのぎを削り、氷上・雪上走行の安定性を高める工夫を施しています。
スタッドレスタイヤは夏用タイヤに比べ、割高になりやすいのが悩みではないでしょうか。ショップのキャンペーンや早割を利用し、お得に購入しましょう。
タイヤ専門店であるタイヤ流通センターなら、1年中いつでもお得な定額料金でタイヤをご用意します。
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現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。