スノータイヤはどんなタイヤ?冬用タイヤの種類や性能、違いを詳しく解説

冬用のタイヤを探す中で、スノータイヤという名前を目にしたことはありますか?

字面から「冬用のタイヤなんだろうな」と想像がつくでしょう。しかし、冬用のタイヤといえばスタッドレスタイヤがあります。いったい、何が違うのでしょうか。

今回はスノータイヤとはどのようなタイヤなのか、詳しく解説します。冬用タイヤの種類や性能、違いもまとめました。

種類の多い冬用タイヤは、地域と乗り方に合ったタイヤ選びが大切です。最適な冬用タイヤを選ぶヒントとして、記事をご活用ください。

▼この記事を最後まで読んでわかること
・スノータイヤとはなにか
・スタッドレスタイヤやスパイクタイヤとの違い
・スノータイヤとサマータイヤの違い
・タイヤ流通センターなら激安でタイヤ交換ができる

スノータイヤは冬用タイヤの総称

「スノータイヤ」は、3種類ある冬用タイヤの総称として使われる言葉です。
別名、ウィンタータイヤ(冬タイヤ)と呼ぶこともあり、積雪や凍結があっても安全に走れるタイヤを指します。

冬用のタイヤは鋲を打ち込んだ「スパイクタイヤ」、スパイクタイヤの禁止を受けて生まれた「スタッドレスタイヤ」と展開していきます。
近年は一年中交換なしで装着できる「オールシーズンタイヤ」も登場し、都市部を中心に人気を集めています。

3種類の冬用タイヤについて、詳しく紹介します。

スパイクタイヤとは

スパイクタイヤは1959年、フィンランドで開発されました。日本では1970年代に急速に普及し、寒冷地では100%近い装着率に達するまでの支持を集めました。

スパイクタイヤは、タイヤのトレッド面(接地面)に金属製の鋲を打ち込んでつくります。鋲が圧雪・凍結した路面をひっかき、強いグリップ力を発揮して車のスリップを防ぐ仕組みです。

タイヤチェーンのように天候に合わせて着脱する必要もなく、手軽さから人気を集めました。

ただし金属製の鋲がアスファルトをひっかく際に、粉塵が舞い上がる点が問題視されるようになります。寒冷地では公害問題になり、調停騒動にまでなった都市もあります。

1991年4月1日に「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が施行され、限定的な条件を除いて、スパイクタイヤの製造と使用が禁止されました。

★ スパイクタイヤの歴史について詳しくは「スパイクタイヤはどんなタイヤ?スタッドレスタイヤとの違い、見なくなった理由」をご覧ください。

スタッドレスタイヤとは

スタッドレスタイヤは、スパイクタイヤ規制後に開発された冬用タイヤです。トレッドパターン(溝の形状)やゴムの材質を工夫し、スパイクタイヤの鋲がなくとも雪上・氷上での安定走行を可能にしました。

現在は、冬用のタイヤ=スタッドレスタイヤといわれるほど、市民権を得ています。

スタッドレスタイヤは、サイドウォールに「STUDLESS」と表記されています。夏タイヤとの見分けは、サイドウォールに注目してみてください。

オールシーズンタイヤとは

オールシーズンタイヤとは、1年を通して履き続けられるタイヤです。

夏のドライ路面では、スタッドレスタイヤに勝る性能を発揮します。一方、冬の雪上・氷上では、サマータイヤより強いグリップ力を発揮します。

ただし、本格的に雪が降る寒冷地での使用は、おすすめできません。オールシーズンタイヤが走行できるのは、わずかな降雪路面のみです。
「都市部で年に1~2回しか雪が降らないが、念のため備えたい」といった人に向いているタイヤです。

冬のあいだは毎日のように雪と氷の心配がある地域では、スタッドレスタイヤを装着しましょう。

結局、スノータイヤとは

「スノータイヤ」という言葉は、現在はスパイクタイヤ・スタッドレスタイヤ・オールシーズンタイヤと3種類ある、冬用タイヤの総称として使われています。

ただし実は、その昔は「スノータイヤ」というカテゴリーも存在しました。スパイクタイヤが使われていたころにあった、鋲を打ち込んでいない冬用タイヤです。
サイドウォールの「SNOW」のマークが目印でした。

当時のスノータイヤは、オフロード向けタイヤのトレッドパターンを複雑化しただけの簡単なもので、サマータイヤと同じゴムでできていました。
性能はそれなりにあったようですが、現在のスタッドレスタイヤのように本格的に雪上・氷上性能を追求したものではありません。

やがてスパイクタイヤが規制され、スタッドレスタイヤが登場すると、いつしか姿を消します。そして現在、スノータイヤは冬用タイヤの総称として使われるようになったというわけです。

スノータイヤとサマータイヤ(ノーマルタイヤ)の違い

スノータイヤとノーマルタイヤは、どのような違いがあるのでしょうか。

タイヤの素材とトレッドパターンに注目し、解説します。

タイヤの素材

スタッドレスタイヤとサマータイヤは、異なるゴムでつくられています。

スタッドレスタイヤは冬の積雪・凍結路で安定走行できるよう、気温が低下しても硬くなりにくいゴムを使います。
ゴムが硬くなると路面との密着度が低下し、グリップ力が弱まるためです。

ゴムは、本来は寒くなると硬くなるのが自然現象です。スタッドレスタイヤのゴムは、専用に開発された特殊な素材であるとわかります。

一方、サマータイヤは真夏の高温下での走行を想定しなければなりません。そのため、気温が高くても性能を十分に発揮できるゴムが使われます。反対に気温が下がるとゴムが硬化し、性能が下がってしまいます。

タイヤメーカー・ミシュランによると、サマータイヤは気温が7℃を超えると本来の性能を発揮できるようになり、気温40℃での長時間使用にも問題ないようにつくられているそうです。

ちなみにオールシーズンタイヤのゴム素材は、スタッドレスタイヤとサマータイヤのバランスを取るようにつくられています。
対応できる気温はマイナス10℃から30℃程度だといわれています。

トレッドパターン

スタッドレスタイヤのトレッドパターンは細かく、サマータイヤはスッキリしています。

スタッドレスタイヤは雪や氷の表面にできた、薄い水の膜を処理しなければなりません。スムーズに排出するため、細かな溝がたくさん切り込まれています。

サマータイヤは、スタッドレスタイヤより大量の水を排出する必要があります。水たまりや高速道路で水を排出しきれなければ、ハイドロプレーニング現象が起きる危険があるためです。
サマータイヤには太く深い溝が切り込まれており、太い溝からしっかり水を排出します。細かな溝はスタッドレスタイヤより少なめです。

オールシーズンタイヤのトレッドパターンは、印象的な「V字」をしています。これはドライ性能と雪上性能を両立できる、最適な模様だからだといわれています。

<豆知識>冬の路面における制動距離

実は雪上と氷上とでは、タイヤにもとめられる性能が異なります。

雪上では「雪を掻き出す力」が性能の差となります。一方で氷上では、主に「ゴムと路面の密着度」が性能を決めます。

つまり雪上性能はトレッドパターンによって、氷上性能はゴムの素材によって決まるということです。

スタッドレスタイヤは、独自のトレッドパターンと柔軟なゴムを使い、雪上・氷上の両性能を最大限にすべく開発されています。

スタッドレスタイヤはやわらかいゴムを使っているため、ドライ路面を走行すると路面と密着しすぎ、ゴムが急速に摩耗します。
スタッドレスタイヤは性能を冬に特化させ、夏の走行性能を犠牲にしているといって良いでしょう。

ところがオールシーズンタイヤは、夏も走るタイヤです。スタッドレスタイヤと同じゴムを使っていては、夏の間にどんどん摩耗してしまいます。

そのためオールシーズンタイヤは、トレッドパターンで性能が決まる雪上では一定の効果を発揮しますが、ゴムによって差が出る氷上性能はスタッドレスタイヤに及びません。

「オールシーズンタイヤは寒冷地に向かない」といわれるのは、これが理由です。

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スノータイヤの選び方

どのスノータイヤが適しているかは、車を使用する地域によって異なります。

  • 基本的には以下の考え方で選べば、間違いないでしょう。
    ★ スノータイヤ選びの基本
  • 雪と氷が日常的にある地域はスタッドレスタイヤ
  • 積雪も凍結もほとんどない地域ならオールシーズンタイヤ

冬は日中も気温が上がらず、冬の間は積雪・凍結と切り離せない地域では、スタッドレスタイヤ一択です。

一方、ほとんど積雪や凍結がない都心や温暖な地域に住む人なら、オールシーズンタイヤがおすすめです。数センチ程度の積雪なら、問題なく走行できます。

ただし「冬は箱根に旅行に行く」「毎年、スキーに行く」といった場合は、スタッドレスタイヤのほうが安心です。凍結した箱根の坂道や本格的に積雪した山間部は、オールシーズンタイヤでは走行できません。

スノータイヤに関するQ&A

スノータイヤに関して、よくある質問と回答をまとめました。スノータイヤについて詳しくなるヒントとして、ご活用ください。

スノータイヤの寿命はどれくらい?

スノータイヤの寿命は、一般的に以下のようにいわれます。

  • スタッドレスタイヤ:3~4年
  • オールシーズンタイヤ:4~5年

ゴムが柔らかく摩耗しやすいスタッドレスタイヤの方が、寿命が短めです。

スノータイヤの寿命は「プラットフォーム」と呼ばれるサインで見極めます。プラットオームは新品の状態から50%摩耗すると露出するようにつくられています。
プラットフォームが露出したタイヤは、冬用としては使えません。

ちなみに溝の残りが1.6mmになると、スリップサインという別の印があらわれます。スリップサインが出たタイヤは、タイヤとしての寿命を迎えています。速やかに新品と交換しましょう。

スノータイヤは夏に装着しても構わない?

「交換が面倒」「次のシーズンは買い替える予定」といった理由で、スノータイヤを夏も履き続ける人もいます。
ただし、スノータイヤを夏に装着することは、おすすめできません。理由は2つあります。

  • 燃費性能が悪化する
  • タイヤ性能はサマータイヤに及ばない

スノータイヤは、サマータイヤよりやわらかいゴムでできています。夏の熱い路面でさらに軟化したゴムは路面に過剰に密着し、燃費を悪くします。

またスノータイヤのドライ路面における性能は、サマータイヤには適いません。ブレーキをかけたときの制動距離が長くなり、事故を引き起こす恐れもあります。

スノータイヤを少しでも安く買う方法は?

スノータイヤをお得に買う方法は、次の3つです。

  • ショップのキャンペーンを利用する
  • ネット通販を利用する
  • タイヤ専門店に相談する

シーズン前には、多くのショップが「早割」と称してスノータイヤの割引キャンペーンを行います。特典によってはかなりお得になる場合もあるため、ぜひチェックしてみてください。

ネット通販でも、格安にタイヤを入手できます。ただし、交換作業をしてくれる整備工場を先に探しておきましょう。整備工場の中には「持ち込みタイヤへの交換は受け付けていない」場合もあります。
タイヤを買ったきり、交換できない状況になりかねません。

タイヤ専門店は、独自の流通ルートでメーカーからタイヤを割安に仕入れています。価格のお手頃さはもちろん、国内外あらゆるメーカーのタイヤを選べる楽しみもあります。

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まとめ

スノータイヤは、スパイクタイヤが登場する前にあった冬用タイヤです。その後、冬用にスパイクタイヤやスタッドレスタイヤが開発されるにつれ、やがて冬用タイヤの総称としてつかわれるようになりました。

冬用のタイヤは寒くても硬くなりにくい特殊なゴムと、独特のトレッドパターンで雪や氷をひっかき、掻き出します。雪や凍結が日常的にある地域の人はスタッドレスタイヤ、ほとんど降らないが念のために備えたい人にはオールシーズンタイヤがおすすめです。

タイヤ選びで迷ったら、どこよりもタイヤに詳しいスタッフが常駐するタイヤ流通センターにお越しください。
お車に合った、最適なタイヤをご提案します。

 

監修者:こげパン
現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。

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