ラニーニャ現象で2024年も厳冬⁉スタッドレスタイヤの履き替えやクルマの冬支度を解説!
赤道付近の太平洋上から南アメリカの沿岸にかけて、海面水温が低くなる現象のラニーニャ現象。ラニーニャ現象が観測されると、日本では大雪が降り厳しい寒波が訪れる「厳冬」となる可能性が高まります。
カーライフに大きく影響する寒波や大雪には早めに備えておきたいですよね。そこで今回は、今年予想されるラニーニャ現象によるカーライフへの影響と、厳冬や大雪への対策を解説していきます。
目次
今年の冬は厳冬になる⁉「ラニーニャ現状とは」
ラニーニャ現象は、赤道付近の太平洋から南アメリカ沿岸部の海面温度が例年よりも低くなる現象です。
2022年は12月にラニーニャ現象のピークが予想されており、日本列島にも11月の終わりごろから寒気が流れ込んできます。そのため、12月初めには全国的に本格的な冬となり、厳しい寒さとなる見込みです。
12月には、海水温がまだ高い日本海の上空に大量の寒気が流れ込むことによって積乱雲が発生し、日本海側では大雪が降る恐れもあります。そのため、早めにスタッドレスタイヤやチェーンなど大雪への対策が必要です。
また、過去の統計でラニーニャ現象が観測された年には、東日本における11月~1月の降水量は少ないものの、平均気温が低くなる傾向が見られます。したがって、太平洋側の東日本でも路面凍結に十分注意が必要です。
カーライフの冬支度は雪予報が出てからでは遅い!
カーライフの冬支度は早めに済ませるのが正解です。スタッドレスタイヤを例にあげると、9月ぐらいから購入や交換予約をする人が出はじめ、11月には予約が一気に増加します。予約をしようと思っても、すでに予約できない日も増え始めますので早めに準備することをおすすめします。
また、9月や10月はタイヤ交換の早期割引キャンペーンなどを行っている店舗も多く、割安にスタッドレスタイヤに交換できるケースもあります。さらに、新品のスタッドレスタイヤに交換した場合には、慣らし運転の期間も必要です。
急激に気温が冷え込んで突然路面凍結が起こっても慌てないように、雪予報や路面凍結よりも早めに冬支度を始めましょう。
車の雪対策に用意しておきたいアイテム
ここからは、寒さや積雪に備えておきたいアイテムを紹介していきます。走行の安全を確保するスタッドレスタイヤやタイヤチェーンのほか、雪や寒さによるさまざまなトラブルに対応できるアイテムが多数販売されていますので、冬対策の参考にしてみてください。
スタッドレスタイヤ
まず、冬対策で備えておきたいのがスタッドレスタイヤです。雪の多い地域では早めに交換している方も多いと思いますが、あまり雪が積もらないエリアでも路面凍結が起こりスリップの危険性が高まるため、早めの装着をおすすめします。
気温が3℃になると路面凍結が始まると言われており、特に早朝や深夜の走行は注意が必要です。また、積雪した場合、雪道をノーマルタイヤで走行するのは条例により交通違反と定められており6000円の反則金が課せられます。
11月に入るとスタッドレスタイヤの在庫も少なくなるうえ、気温も一気に下がります。そのため、スタッドレスタイヤへの交換は最低気温が3℃前後になる前までに予約を済ませておくのがおすすめです。
タイヤチェーン
タイヤチェーンは、雪の少ない地域での備えや、スタッドレスタイヤの履き替えが間に合わなかった場合におすすめです。
タイヤチェーンはタイヤに直接取り付ける雪対策グッズで、布製、ゴム製、金属性などさまざまな素材のタイヤチェーンが販売されています。変わったものではスプレー式のタイヤチェーンもあり、ノーマルタイヤに吹き付けるだけで冬用タイヤとして利用可能です。
ゴム製のタイヤチェーンやスプレー式タイヤチェーンは金属製よりも走行音や振動が少ないのがメリットですが、グリップ力は劣りますので装着後も走行には注意してください。どのタイプもコンパクトで収納性が高いため、いざというときのために自動車に乗せておくと安心です。
雪用ワイパーブレード
積雪が多いエリアでは、雪をしっかりかき取れる雪用のワイパーブレードに付け替えて備えておくのがおすすめです。雪用ワイパーブレードは、ノーマルのワイパーブレードとは異なる素材と構造で、寒さに強く雪や氷もしっかりかき取ります。
一方、ノーマルのワイパーブレードは、寒さでゴムが固くなってしまい雪や氷を取り切れないうえ、壊れてしまう恐れもあります。寒さが厳しいエリアに住んでいる方はもちろん、ウインタースポーツで雪が多いエリアに出かける前にも雪用ワイパーブレードに交換しておくと安心です。
霜よけカバー
霜よけカバーは、フロントガラスに装着しガラスの凍結を予防するアイテムです。帰宅時に霜よけカバーをセッティングしておけば、出かける前に雪が積もっていても、雪や霜を簡単に取り除けます。
出発前にフロントガラスの氷を解かす手間がなくなり、出発前の時短にも役立ちます。日焼けや紫外線を防止する商品もあり、日よけとしてもオールシーズン活躍する便利なアイテムです。
解氷スプレー
フロントガラスの氷を解かす解氷スプレーは、冬の間、ひとつは自動車に積んでおきたいアイテムです。撥水性のあるシリコンが配合されており、一度溶かした雪や霜の再凍結も防ぎます。
凍ってしまったフロントガラスを溶かすためにお湯をかけるのは、かけたお湯が冷めて再凍結してしまったり、温度変化によりフロントガラスが割れたりする恐れがあるため大変危険です。手作業で氷を取り除くのも大変な作業となります。ぜひ、解氷スプレーを常備しておいてはいかがでしょうか?
雪道退避グッズ
深い雪道にハマってタイヤが空転するタイヤスタックから脱出するためのアイテムも備えておくと安心です。タイヤがスタックしてしまうと焦ってしまい、なかなか抜け出すことができません。
スリップしているタイヤと地面の間に敷くことで、タイヤをグリップさせ自動車を移動させられるスノーヘルパーや、自動車を牽引してもらうための牽引ロープをまとめて積んでおきましょう。
雪道運転に注意する5つのポイント
雪道の運転は、通常の運転と異なり注意深く走行しないとスリップやスタックを起こしてしまい危険な目に遭遇することも…。ここでは、雪道を運転する際に気を付けたい5つのポイントをお伝えします。
スタッドレスタイヤの溝は大丈夫?
まず、スタッドレスタイヤの溝はしっかりあるかチェックしましょう。スタッドレスタイヤが劣化しているとグリップ性能はもちろん、ブレーキ性能も落ちてしまい雪道や凍結した道路を安全に走れません。
スタッドレスタイヤはタイヤの溝が50%摩耗する前に交換しましょう。タイヤのプラットフォームが現れたら、摩耗によりタイヤの溝が50%以下となった合図で交換の必要性があります。プラットフォームをチェックし、露出する前に交換しておくのが安全です。
また、スタッドレスタイヤは駆動する車輪だけでなく、全部のタイヤに装着することが重要です。駆動輪だけにスタッドレスタイヤを装着しているとコントロールを失いやすく、大きな事故につながります。
アイスバーンや滑りやすい場所での急ハンドルは厳禁!
雪道や凍結路ではスリップが起こりやすくなるため、急ブレーキや急ハンドルは避けましょう。橋の上は湿度が高くなり、路面凍結が起こりやすくなるため注意が必要です。また、交差点やカーブなど、ハンドル操作が必要な場所でも、スリップの危険性を常に考えて操作することが重要です。
交通量の多い道路では、雪が固まって鏡のように凍ってしまうミラーアイスバーンという現象が起こりやすいので、十分注意して運転しましょう。また、路面が濡れているだけのように見える箇所にも要注意です。実は、薄い氷が路面を覆っているブラックアイスバーンの可能性があり、スタッドレスタイヤを装着していても滑りやすくなっています。
ホワイトアウトに遭遇したらハザード点灯&減速を
走行中、吹雪に遭遇して全く先や周辺が見通せないホワイトアウト現象が起こってしまったら、ハザードランプを点灯して少しずつ減速します。路肩に自動車を停められるなら、そのまま停車し視界が回復するまで待ちましょう。停車できない場合は、そのまま徐行し安全な場所まで移動します。
ただし、停車してホワイトアウトの収束を待つ間は、マフラーが雪でふさがれないように気を付けなければなりません。マフラーの周辺に雪が積もって、排気口がふさがれてしまうと排気ガスが車中に充満し、一酸化炭素中毒になってしまう危険性があります。
ガソリン満タン&冬装備を整えて出かけよう
雪の中、ドライブに出かけるなら、常にガソリンは満タンな状態を保つように心がけましょう。ガソリンスタンドを見つけたら、こまめに給油しておくことがおすすめです。
雪道は事故や故障が多いため渋滞が起こりやすく、高速道路が閉鎖となるトラブルも発生する可能性が高まるのがその理由です。トラブルにみまわれた際に、ガソリンに余裕がないとカーエアコンも使用できず凍えてしまう恐れもあります。
4WDなら雪道も走りやすい
4WDの自動車は、悪路でもコントロールしやすく雪道の運転に適しています。4WDの中でも、地上高が高く車重が重すぎない軽SUVやコンパクトSUV、クロスオーバーは、雪道でも運転しやすい車種と言えるでしょう。
まとめ
今年はラニーニャ現象の兆候が表れており、日本の冬も厳しい寒さとなる可能性が高くなっています。そのため、カーライフも積雪や厳しい寒さに充分な対策が必要です。本格的な冬が始まる前にスタッドレスタイヤへの交換や冬支度を済ませ、安心して冬を迎えてください。
現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。