「雨天のスタッドレスタイヤは危険」は本当!理由をタイヤ構造から徹底解説!
スタッドレスタイヤは、雪上・氷上で性能を発揮します。「雪や氷に強いなら、同じ水分である雨天時も強いのでは?」と考えたくなるかもしれません。
しかし「スタッドレスタイヤは雨に弱い」というのがタイヤ業界の通説です。
ではなぜ、スタッドレスタイヤは雨天に向かないのでしょうか。
今回はスタッドレスタイヤでの雨天走行は危険!といわれる理由を、タイヤの構造面から詳しく解説します。
タイヤ交換の手間を減らすコツや、コスパの良いタイヤ交換のヒントもまとめました。スタッドレスタイヤの性能を正しく知り、安全にドライブを楽しむヒントにしてください。
▼この記事を最後まで読むとわかること
・スタッドレスタイヤは、雨にも強いのか
・スタッドレスタイヤが雨天に向かない理由
・オールシーズンという選択肢
・タイヤ流通センターなら激安でタイヤ交換ができる
目次
「雨の日にスタッドレスタイヤは危険」の真相
「雨とスタッドレスタイヤは相性が悪い」「スタッドレスタイヤは雨に弱い」という話を聞いたことがありますか。このウワサ、本当なのでしょうか。
3つの観点から、真相を解説します。
雨の日にスタッドレスタイヤを使った人の声
「雨の日にスタッドレスタイヤを履いた車に乗ったら、ブレーキ時にタイヤが滑った」との声は、各所で見られます。
SNSにも「雨の日のスタッドレスタイヤは怖い」とする投稿がありました。
https://twitter.com/koreanorimaki/status/1711421266144743813
https://twitter.com/141730abc/status/1702590229952295242
https://twitter.com/komesan_y_/status/1699939536405692793
降雨量や路面状態、運転の仕方によっても危険度は変わります。ただし、多くの人が「雨の日のスタッドレスタイヤは滑る」と感じていることは確かなようです。
タイヤメーカーの見解
タイヤを製造しているメーカーは、どのように考えているのでしょうか。
世界のタイヤシェアで1位を獲得したこともある、国内最大のタイヤメーカー・ブリヂストンの見解は以下のとおりです。
(※ 引用:スタッドレスなんでもQ&A|株式会社ブリヂストン)
スタッドレスタイヤは雪道や凍結路に向けてつくられている前提の上で、「スタッドレスタイヤを雪道以外で使っても構わない」としています。
冬だからといって、雪国でも一日も絶やさず雪が降るわけではありません。冬でも路面が乾いている日や、雪が雨になる日、夏と同様の路面状態になる日もあります。
タイヤは、さまざまな天候状態に対応できるようにつくられているため、スタッドレスタイヤを夏に履いても大きな問題にはならないようです。
ただし、あくまでスタッドレスタイヤは積雪・凍結路向けのタイヤです。
メーカーが「夏は夏タイヤ、冬はスタッドレスタイヤの装着を推奨」している点は、押さえておきましょう。
JAFの実験
「雨天時のスタッドレスタイヤは危険」との言説は、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)の実験結果によるところが大きいかもしれません。
JAFは2015年に、タイヤの状態と路面状況を変えて制動距離を測る実験をしました。
(※ 参照:摩耗タイヤの検証(JAFユーザーテスト)|JAF)
濡れた路面での制動距離は、次の結果になりました。
タイヤの残溝 | 時速60km | 時速100km |
---|---|---|
夏タイヤ(10分山) | 16.7m | 47.6m |
夏タイヤ(5分山) | 16.7m | 50.8m |
夏タイヤ(2分山) | 18.0m | 70.5m |
スタッドレスタイヤ(プラットホーム出現) | 20.3m | 72.2m |
夏用タイヤ(5分山)とスタッドレスタイヤ(プラットホーム出現)を比較すると、制動距離に1.2~1.4倍の差があることがわかります。
トヨタモビリティパーツ北東北統括支社による制動距離の比較でも、同様の結果が出ています。
ウェット路面を時速90kmで走行、夏タイヤの制動距離(指数)を100とすると、スタッドレスタイヤの制動距離(指数)は142.6でした。
実に車両1台分以上の差が生まれています。
結論:雨天でもスタッドレスタイヤは履けるが、危険!
ブリヂストンは「雨の日もスタッドレスタイヤを履ける」としています。ただし、天候に合わせたタイヤ選びが重要であることは、大前提です。
さらに制動距離の実験結果、実際に雨天でスタッドレスタイヤを使用した人の声から、「雨の日のスタッドレスタイヤは危険」と結論づけて問題ないでしょう。
スタッドレスタイヤは雪や氷には強いのに、同じ水分である雨に弱いのはなぜでしょうか。
次の章では、スタッドレスタイヤの構造面から、雨に弱い理由を解説します。
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なぜスタッドレスタイヤは雨天に向かないのか?2つの理由
スタッドレスタイヤが雨の日に危険な理由は、特有の構造を持っているためです。
スタッドレスタイヤの構造と、構造の特徴が雨の日に弱点となる理由を解説します。
まず、スタッドレスタイヤの構造を押さえましょう。
構造を把握した上で、雨の日に弱い理由を読むと納得度が高まります。
スタッドレスタイヤ特有の構造
スタッドレスタイヤは雪や氷の上を、安定して走れるようにつくられています。
<スタッドレスタイヤが雪・氷上でも滑りにくい秘密>
- ゴム:夏タイヤより柔らかいゴム
- 溝:夏タイヤより太くて深い溝
- サイプ(切り込み):夏タイヤより多く、複雑な形状
スタッドレスタイヤのゴムは柔軟性に富んでいます。これは凹凸の多い雪や氷の上でも、路面にしっかり密着させるためです。
低温でも柔らかさを保てるように、特殊な素材を使います。
夏タイヤと比べて、スタッドレスタイヤの溝は太く深く刻まれています。スタッドレスタイヤの溝は雪をがっちりつかむためにあり、この溝のおかげで雪の上でもスムーズに走行できます。
サイプと呼ばれる切り込みは、夏タイヤより数が多く複雑な形状をしています。サイプは路面とタイヤの間にある水分を排出するために刻まれますが、スタッドレスタイヤには排水性能と同時にグリップ力も求められます。
複雑な溝を多く刻むことで、排水しつつ氷をひっかく力も保持できるようになっています。
<豆知識> 雪や氷が滑るのは、雪・氷そのものではなく、表面に溶けだした水分のためです。 雪や氷の上に薄い水の膜ができると、タイヤを滑らせます。 歩いているときやスキー・スノーボードで滑るのも、同じ構造です。 |
スタッドレスタイヤが雨天時に危険な理由
滑りやすい雪や氷の路面でもグリップ力を発揮するスタッドレスタイヤなら、雨の日でも安全なのでは?と感じるかもしれません。
実は雨の日にスタッドレスタイヤが危険な理由は、排水性能にあります。
スタッドレスタイヤは、スリップの原因となる路面とタイヤのあいだの水分をサイプから排出します。
夏タイヤも同様です。路面の水分(雨)を、サイプを通じて排出します。
ここで大きな違いになるのが、夏と冬では排出が必要な水分量が異なる点です。
夏タイヤの排水性能
夏タイヤは路面に大きな水たまりができるほどの雨量も、排出できる必要があります。一方で路面をグリップする力は、冬ほどは求められません。
よって夏タイヤのサイプは「多量の水を速やかに排出する」機能に特化できます。
太くまっすぐなサイプを刻み、ミリ単位の雨も一気に排出します。
スタッドレスタイヤの排水性能
スタッドレスタイヤが排出しなければならない水分は、雪・氷とタイヤのあいだにあるわずかな量です。
そのため、スタッドレスタイヤのサイプは細かく複雑な形状で刻まれています。少量の水分を排出しつつ、滑る路面をグリップする力も同時に保持するためです。
つまりスタッドレスタイヤは、夏のようにミリ単位の水分を排出するようにはつくられていないのです。
雨天のスタッドレスタイヤが滑りやすいのは、スリップの原因である水分を十分に排出できないためだと考えられます。
<豆知識> 路面の水分は、ハイドロプレーニング現象の原因になります。 ハイドロプレーニング現象とは、路面とタイヤの間の水分によって車体が浮いた状態になり、コントロールが効かなくなる現象です。 雨天時のスタッドレスタイヤ使用は、水分をタイヤから十分に排出できず、ハイドロプレーニング現象の危険も伴います。 |
積雪・凍結路以外でのスタッドレスタイヤ使用は要注意
雨天時のスタッドレスタイヤは危険だという事実、そしてその理由がお分かりいただけたでしょうか。
実は雨の日以外にも、スタッドレスタイヤが不向きなシーンがあります。それは次の2つです。
- 乾燥した路面
- 高速道路
スタッドレスタイヤは、路面に密着するよう柔らかいゴムでできています。ところが乾燥した路面や高速走行では、この柔らかさと密着度が仇となり摩耗が激しくなります。
また路面を強くグリップする力が、燃費性能を下げる要因にもなります。
冬以外にスタッドレスタイヤを履いても、NGではありません。
ただし「摩耗が進みやすい」「燃費が悪くなりやすい」点は、注意しておきましょう。
1年中タイヤ交換せずに使うなら「オールシーズンタイヤ」がおすすめ
「タイヤ交換が面倒」「タイヤへの出費を抑えたい」と感じる人には、オールシーズンタイヤがおすすめです。
オールシーズンタイヤの特徴と、注意点を解説します。
オールシーズンタイヤとは
オールシーズンタイヤは、基本的に一年中使えるタイヤを指します。
夏の乾いた路面はもちろん、梅雨時も、冬も少量の雪・氷なら走破できる性能を備えています。
夏タイヤとスタッドレスタイヤ、それぞれの特徴を兼ね備えたタイヤと考えてください。
季節ごとのタイヤ交換は不要、一度装着すれば、タイヤの寿命まで履き続けられます。
スノーレジャーではタイヤチェーンを装着
オールシーズンタイヤが対応できる雪・氷は、あくまで少量です。
スノーレジャーをはじめ、相応の積雪量が想定される地域へのお出かけには向いていません。
本格的な降雪地に行く際は、スタッドレスタイヤに履き替えるか、タイヤチェーンを装着しましょう。
近年は軽量で走行性に優れた、ゴム製やウレタン製のチェーンも充実しています。
車にタイヤチェーンを装備しておけば、急な冷え込みによる想定外の凍結にも安心です。
コスパ良くタイヤを選ぶならタイヤ流通センターへ
タイヤの購入や交換は、車に乗る人にとって悩ましい問題です。費用も手間もそれなりにかかる、できればずっと履き続けたい…、と考えるのも当然かもしれません。
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安く、スピーディーなタイヤ交換なら、タイヤ流通センターにお任せください。
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まとめ
スタッドレスタイヤを夏タイヤに交換せずに乗り続けることには、多くの危険があることを解説してきました。
とくに雨の日は、いつもに増して滑りやすくなります。雨天時はスタッドレスタイヤの制動距離が長いことは、JAFやトヨタなどの実験でも明らかです。
タイヤは夏・冬、それぞれの天候下で最適な走りができるようにつくられています。春がきたら夏タイヤに、晩秋にはスタッドレスタイヤに履き替え、安全走行を手に入れましょう。
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現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。