【整備士監修】自分でできるタイヤ交換方法と注意点について解説!
意外と出費が大きくなる「タイヤ交換」。自分で交換できれば、費用を大幅に節約できます。しかし、タイヤ交換の作業は危険が伴うことも。安全に済ませるためには、手順を押さえて取り組むことが大切です。
そこで今回は、タイヤ交換の必要性をはじめ、タイヤ交換の最適なタイミングや手順についてご紹介します。併せて、作業中に注意すべき3つのポイントも解説していますので、これからタイヤ交換に取り組もうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
タイヤ交換は何故必要?
タイヤは一見すると頑丈そうに見えますが、あくまでゴム製品の「消耗品」です。使用することで、摩耗し溝がなくなったりゴムの経年劣化によりヒビが入ったりします。
さらに、影響が出るのはタイヤだけではありません。車両の燃費が悪くなったり走行中の音がうるさくなったりと、運転にも支障が出てしまうのです。最悪の場合、タイヤが走行中に破裂して事故を引き起こす危険性もあります。安全で快適なカーライフを過ごすためにも、タイヤ交換は必ず定期的に行わなければなりません。
タイヤ交換のタイミング
では、タイヤ交換はどのようなタイミングで行えばよいのでしょうか。
車検前
タイヤ交換は車検前にするべきです。なぜなら、古いタイヤだと整備不良で車検に通らないことがあるためです。そうなった場合、車両の整備をしたのち再車検を受けなければなりません。
車検が通らないタイヤの特徴には、「溝が浅い」「偏摩耗の差が大きい」「無数のひび割れが起きている」などがあります。具体的には、溝の深さが1.6mmを下回っていたりスリップサインが出ていたりすると車検に通らなくなるので、前もってタイヤ交換をするようにしましょう。
季節の変わり目
一般的に、季節の変わり目にタイヤ交換をするドライバーは多いもの。古いタイヤを新しいタイヤに交換するだけでなく、夏用と冬用でタイヤを使い分けるために交換することもあります。
そもそも、夏用タイヤと冬用タイヤでは、タイヤの性能が異なります。夏用タイヤは、舗装された路面でその性能を発揮します。具体的には、一般道でのグリップ性や雨の日の排水性、低燃費性などがあげられます。一方で冬用タイヤは、雪道でグリップ力を発揮できるように、夏用タイヤよりも溝が深くゴムも柔軟な設計になっています。
季節に合わせてタイヤを交換すれば、タイヤの性能を活かすことができ、さらに車両に与える負担も軽減できます。
タイヤのサイドウォールが傷ついとたき
タイヤのサイドウォール(タイヤの側面)が傷ついたら、すぐにタイヤ交換をしてください。傷ついた状態のタイヤが高速回転したり段差などで衝撃が加わったりすると、タイヤが破裂する可能性があります。タイヤが破裂するとハンドル操作が効かなくなるため、ほかの車両を巻き込む大事故に発展しかねないのです。安全な走行を楽しむためにも、傷が目についたら早急にタイヤ交換を行いましょう。
タイヤ交換を自分で行う場合の方法
タイヤ交換を業者に頼むと、タイヤ代と作業工賃が発生します。しかし、タイヤ交換に必要な工具と手順さえわかっていれば自分で作業できるため、作業工賃を抑えることが可能です。難しい作業ではありませんので、少しでも出費を抑えたい方は自らタイヤ交換を行ってみましょう。
タイヤ交換に必要な工具
タイヤ交換を自ら行うにあたり最低限必要な工具は、ジャッキとジャッキハンドル(くるくる棒)、ボックスレンチ、トルクレンチ(増し締め用)の4つです。
ジャッキとジャッキハンドル(くるくる棒)、ボックスレンチは、トランクの底や後部荷室にスペアタイヤと共に収納されていることもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。ただし、車両に工具があったとしてもそれはあくまでも緊急用です。今後、タイヤ交換を自分で行うのであれば、トルクレンチ(増し締め用)とあわせてホームセンターなどで揃えておきましょう。
なお、車両を動かなくする「輪止め」や汚れを気にせず作業するための「軍手」があると、より一層作業しやすくなります。
タイヤ交換の手順
それでは、タイヤ交換の手順を確認してみましょう。全体的な流れは以下のとおりです。
1.安全なところに車を停める
2.ホイールナットをゆるめる
3.車体を持ち上げる
4.ゆるめたナットを外し、タイヤを取り外す
5.新しいタイヤに付け替える
6.車体を下ろし、ナットをしっかり締める
1.安全なところに車を停める
必ず安全なところに車両を停めてから、タイヤ交換を始めましょう。駐車する場所が砂利敷きだったり傾斜があったりすると、車両が不安定になり危険を伴うため注意が必要です。
車を停めたら、輪止めをセットしておきましょう。輪止めは、交換するタイヤの対角にあるタイヤにセットするのが基本です。
2.ホイールナットをゆるめる
ボックスレンチを反時計回しにまわして、ホイールナットを軽くゆるめます。ホイールナットを完全に外す工程はあとになるので、この段階では「ゆるめるだけ」でOKです。
なお、ホイールキャップ(ホイールカバー)が装着されていることで、ホイールナットが見えないタイヤもあります。その場合は、ホイールキャップを外したのち前述した工程に取りかかりましょう。ホイールとホイールキャップの間に、薄くて硬いヘラのようなものを差し込めば簡単に取り外せます。
3.車体を持ち上げる
そのあと、ジャッキとジャッキハンドル(くるくる棒)を使って車両を持ち上げます。ジャッキ操作棒を差し込んで時計回しにまわすと、車両を持ち上げられます。あまり高く上げすぎるとジャッキが不安定になるため、タイヤが地面から少し離れたあたりで止めるのがポイントです。
ジャッキを差し込む際は、「ジャッキアップポイント」に噛み合うよう調整しましょう。万が一、ジャッキポイント以外の場所にジャッキを当てて車両を持ち上げてしまうと、ボディがゆがんでしまう危険性があるため十分に注意してください。なお、ジャッキポイントの場所がわからない場合は、車両の取扱説明書を確認しましょう。
4.ゆるめたナットを外し、タイヤを取り外す
ジャッキアップしてタイヤが浮いたら、ゆるめたホイールナットを外してタイヤを引き抜きます。このとき、タイヤを水平に保って、ボルトのネジ山に傷が入らないように注意しましょう。
取り外した古いタイヤは、車両の下に入れておくのがおすすめです。こうすれば、もしジャッキが倒れても身の危険を回避しやすくなります。ナットは、紛失しないようにシートや箱を用意してまとめて置いておきましょう。
5.新しいタイヤに付け替える
新しいタイヤに付け替えましょう。車両から「ハブボルト」が生えているので、ホイールの穴にハブボルトを合わせてタイヤを取り付け、ホイールナットを仮締めしてください。
ホイールナットを締める順番には決まりがあります。ボルトが4本の場合は上から対角線上に「上→下→左→右」の順に、ボルトが5本の場合は上から星を描くように「上→右下→左上→右上→左下」の順に締めましょう。ホイールナットがゆるんでいると、走行中にタイヤが揺れて危険です。2〜3回に分けて、しっかり締めるよう心がけてください。
6.車体を下ろし、ナットをしっかり締める
ジャッキをさげて車両を地面につけたら、ホイールナットを2〜3回に分けて本締めしていきます。そして、トルクレンチで増し締めをすればタイヤ交換は完了です。
増し締めを力任せに行うと必要以上の力がナットやボルトにかかり、破損につながる危険性があります。そのため、増し締めは適正値を確認して行うようにしましょう。増し締めの適正値は車の取扱説明書やディーラーで確認でき、自動車メーカーによってはネットで公開していることもあります。
なお、タイヤ交換を自ら行う際の方法や専門店へ依頼した場合の料金については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
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タイヤ交換を自分で行うときの注意点
タイヤ交換を誤った方法で行うと、車両を傷つけたりタイヤの寿命が短くなったりします。タイヤ交換をする際の注意点を2つの工程に分けてご紹介しますので、見落としのないよう注意しましょう。
タイヤを取り外すとき
タイヤを取り外すときの注意点は「ハブボルトを傷つけないこと」です。
ハブボルトとは、車両とタイヤ(ホイール)をつなぐ部品。ナットを外してからタイヤを引き抜く際に、タイヤが斜めになった状態のまま引きずるように取り外すと、ハブボルトのネジ山が歪んだり潰れたりしてしまいます。傷ついたハブボルトにタイヤを取り付けると、走行中に脱輪してしまう危険性があるため、取り外した際に傷がないか確認するようにしましょう。
タイヤを取り付けるとき
タイヤを取り付けるときの注意点は、タイヤに「指定の向きがないか確認すること」です。
タイヤによっては、性能を高めるため進行方向(回転方向)が指定されている場合があります。向きが指定されているタイヤは、進行方向に合わせて取り付けられる前提で溝を配置しているため、逆に取り付けてしまうとグリップ力や排水性に影響が出ます。タイヤを取り付ける際は、指定の進行方向がないか確認しておきましょう。
自分でタイヤ交換をしたあとすべきこと
タイヤ交換が終わったら、必ず以下の3つまで済ませましょう。
実際に乗車してみる
タイヤが新品になれば走行性能が向上すると考えられがちですが、実はそうではありません。まずは乗車して「タイヤを慣らす」必要があります。
新品のタイヤを触ってみると、手がスベスベになります。これは「離型剤(りけいざい)」という薬剤が付着しているためです。離型剤が付着していると、新品のタイヤでもブレーキが効かなかったりスリップしたりすることがあるため、慣らし走行をしてタイヤ本来の性能を引き出す必要があるのです。離型剤がなくなるまでの間は、普段よりも安全走行を心掛けるようにしましょう。
なお、慣らし走行の目安は「速度80km/h以下で距離は100km以上」です。冬用タイヤの場合は、「速度60km/h以下で距離は200km以上」が目安とされています。
空気圧をチェックする
タイヤ交換を終えたら、空気圧をチェックしましょう。万が一、空気圧が低すぎたり高すぎたりすると安全に走行できなくなるため、適正空気圧に調整しておくことが大切です。
タイヤ専門店など、スタッフがいる店舗を利用すれば空気圧の確認・調整を一任することができます。反対に、ガソリンスタンドなどのセルフスタンドの場合は、自分で空気圧を調整しなければならないことも。その場合、車両の適正空気圧を知る必要があります。
適正空気圧は、運転席側の扉か給油口に貼られているシールで確認できます。必ず目を通して、正確に調整しましょう。
タイヤを保管・廃棄する
交換に伴い、取り外したタイヤは保管または廃棄する必要があります。
保管する場合は、タイヤを横向きにするのが基本です。縦向きだと、タイヤの重みでゴムが変形してしまうためです。「スペースが確保できない」など、どうしても縦向きで保管しなければならない場合は、タイヤラックなどを使ってタイヤに負荷が掛からないよう工夫しましょう。
そして、保管する場所は直射日光の当たらない屋根付きのガレージや庭がベストです。また、雨に濡れないよう地面から離しておくことも大切です。屋根がない場合は、養生用のブルーシートで覆うことで、直射日光と雨を防ぐことができます。
なお、保管場所を用意できない場合は、タイヤ専門店やガソリンスタンドの「タイヤ保管サービス」を利用しましょう。ベストな環境下でタイヤを保管してもらえます。
タイヤを廃棄処分する場合は、専門業者に依頼しましょう。廃品回収業者に依頼したりタイヤ専門店に持ち込んだりすれば、正しいルートで処分してもらうことができます。
廃棄にかかる費用は、タイヤ専門店であれば4本で「税込2,000円〜5,000円」程度、廃品回収業者であれば「税込4,000円〜8,000円」程度です。サイズによって料金は前後するので、事前に料金を確認しましょう。
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自分でのタイヤ交換が難しい!そんな方は専門家にお願いすることが一番!
消耗品であるタイヤは、頃合いをみて交換することが大切です。使用中のタイヤが古くなったときはもちろん、車検前や季節の変わり目などのタイミングに合わせて交換しましょう。
また、タイヤ交換を自分で行う場合は、安全に考慮して正しい手順で取り組むことが大切です。車両に傷がつかないよう、そしてタイヤの性能が落ちてしまわないよう注意しましょう。
タイヤ交換をうまく行う自信がない場合は、専門家に依頼するのが賢明です。
たとえばタイヤ専門店を利用するなら、北海道から沖縄まで全国で150店舗以上を展開している「タイヤ流通センター」がおすすめです。比較的安価な料金設定でありながら、豊富な知識を持ったスタッフがスピーディーでかつ正確にタイヤ交換を実施します。タイヤ交換を検討中の方は、ぜひこの機会にお問い合わせください。
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現在、一級自動車整備士(整備士歴10年)として整備工場に勤務。専門学校卒業後、輸入車ディーラーに整備士として勤務、6年間で3社を経験。その他、「国家二級ガソリン自動車整備士」「国家二級ディーゼル自動車整備士」「アーク溶接」「低圧電気取扱者」の資格を保有。